鉄は打ってはじめて強くなることは昔から知られており、「鍛治」または「火造り」と言われていました。これが、現在の「鍛造」です。
鍛造「タンゾウ」とは、字のごとく 「鍛えて造る」 ということです。「鉄は熱いうちに打て」と若者の教育論にも使うように、鉄を高温に加熱してたたくことにより、鍛えると同時に任意の形状に変形させることを言います。金属塊を加熱し、たたく(鍛錬)ことによって、結晶粒を微細化し組織が改良され、機械的性質を改善すると同時に目的の形状を作り、機械加工の省略もしくはその工数を減らすことが出来る、それが「鍛造」なのです。
鍛造製品の優位性
鋼材を加工した製品は、一定の断面形状に圧延されたものから造られるため、製品に加工する際の歩留りが非常に悪い。また鋳造製品は、鉄を溶かして鋳型に流し込み形を造るので、その組織にはバラツキや介在物が混入しやすく衝撃に弱い性質を持っている。しかし鍛造製品は、鋼材を鍛錬する事でより強度を増すことができます。
※メタルフロー
鋼材は圧延する事によりメタルフロー(金属粒子の流れ)が発生する。例えば、竹を横に折る事は難しいが縦に裂く事は容易であると同様に、金属のメタルフローもその強度に大きな影響を与える。
●鋼材を削り出した製品
※メタルフローが途切れるため、衝撃に弱い。
●鋳造製品
※メタルフローは存在しないため、衝撃に弱い。
●鍛造製品
※メタルフローは製品形状に沿っているため、衝撃に強い。
鍛造品は、その強度を活かし、”走る、曲がる、止まる”を支えています。